捨てる。活かす。  ~シンプルに軽やかに~

もう片付けしたくないので、とことん手放していきます。

《ただの日記》 例えるなら、脱皮したての蟹(カニ)らしい。

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おたふく風邪も完治し、仕事も休みの今日。

二週間ぶりに外の世界に出かけた。

久しぶりに運転する車は、まるで免許取り立てのあのたどたどしい感覚になった。

 

向かった先は、自宅から車で15分のところにある、いつもの珈琲販売店。

儲かっているのか心配になるくらい、行っても他のお客さんとほとんど会うことがない。裏道の建物の二階でひっそりと営業している正真正銘の隠れ家である。

 

そこでは、少々斜めに構えたようなこだわりの強い性格の眼鏡おっちゃんが、いつも最高の珈琲豆を揃えて、ジャズ(時には昭和歌謡曲っぽいの)を流しながら珈琲を売ってくれる。

 

年齢は、還暦ちょっと前くらいだろうか。 

最初お会いした時は、本当に変なおっちゃんと思ったけど、するめみたいで(噛めば噛むほど)会えば会うほど面白いロマンチスト男爵だったことを知ることになる。

 

 

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周囲には決して話せない悩み(特にマイペース夫の取り扱いに関して)は、この眼鏡のおっちゃんに相談する。人生の先輩は面白いヒントをいつもくれる。

 

ただ今日の私は、二週間ぶりに外に出たせいか、自分の気持ちを整理し、組み立てて会話にすることができなかった。

 

眼鏡のおっちゃんが言うには、例えるなら脱皮したての蟹(カニ)だそう。

いつも着ている鎧(よろい)を脱いでふにゃふにゃになっている状態だから、普段ガードして排除していることもダイレクトに受け入れている。

また、自分の弱いところや汚いところを隠せなくて戸惑っている。そんなところではないか、と。そんなニュアンスで話してくれた。

 

いつもと違って、うまく言葉と組み立てることができない。

だから、私はあけっぴろげにそのままに、生まれたての小鹿のようにたどたどしく思ったことを言葉にしていった。

きっとおかしいことこの上なかったに違いない。

 

二週間引きこもっただけで、ここまで人間退化するものなのか。

テレビでよく聞く「一人暮らしだとボケるのが早くなる」のは、本当だと痛感した。

 

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眼鏡のおっちゃんが、いつもの試飲で新作のタンザニア・KIBOを淹れてくれた。

甘く香り高くて、夏に飲みたくなる珈琲だった。

両親への夏ギフトにもひとつセッティングしてもらった。

 

脱皮したての蟹が居座っている間、とうとうお客さんはひとりもやってこなかった。

このあと眼鏡おっちゃんは、横に山積みになっていたお中元ギフトのセッティングをするのだと思う。

貴重な一時間半を、甲羅が固まるまでつき合わせてしまって心底申し訳なかったと思う。

 

週明けには、両親からこっそり拝借するKIBOで心身を鼓舞しながら、再び妻として、母として、社会人として、戦いが始まる。

 

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《 2016.07.10. ただの日記 完 》